ひょう被害生産者インタビューVol.4

家族が団結してひょう被害果の販路を確保

かんたファーム 代表 菅田美嘉さん

かんたファーム 代表 菅田美嘉さん

福島市北西部の大笹生地区にある「かんたファーム」。桃の果樹園を中心に、少量多品目の果物や野菜など約100種を栽培しています。

かんたファームの特徴

かんたファームの代表 菅田美嘉(かんた みか)さんは、ご両親と共に10品種の桃や、少量多品目の果物や野菜を育てています。家庭菜園のように少しずつ多様な品目・品種を育てているのが特徴で、ブルーベリー、洋ナシ、いちじく、ソルダム、プルーン、あんず、こんにゃく、アーティーチョーク、ロマネスコなど、スーパーではなかなかお目にかかれない珍しい野菜も栽培しています。畑に隣接している無人直売所や「道の駅ふくしま」で販売するほか、軽トラで新鮮野菜やくだもの、6次化商品を直売する「福島駅前軽トラ市」などのイベントにも積極的に参加しています。

かんたファームでは、2022年5・6月の降ひょうで桃、あんず、プルーンなど多くの果実に傷がつき、ほとんど通常通りの出荷ができませんでした。傷のない果実や傷が少ない果実は、B級品として道の駅や直売所などで販売。傷が多く販売するのが難しい果実は、皮を剥くなどして冷凍し、加工品に回します。
その他、バジルなどの葉物野菜にもひょう被害があり、弱って育たなくなってしまったものや、一部の苗を植え直したものもあったそう。

「『今年はたくさん買うから美味しいの作ってね!』となじみのお客様に言われて『よしやるぞ!』と意気込んでいた矢先のひょう被害。がっかりしました」と美嘉さん。
「でも、もっとひどい被害を受けた方もたくさんいらっしゃいます。群馬で自動車工場を経営するお客様のところではゴルフボール大のひょうが降り、工場の車の窓ガラスが全て割れてしまったそうです。そんな状況下でもかんたファームの桃を買ってくださりありがたかったです」とも。美嘉さんはその話を聞いて、「これぐらいで済んだのだから弱音を吐いてばかりはいられないな」と、気持ちを切り替えるきっかけになったそうです。

各所に相談し販路を確保

桃の約9割が通常ルートで販売できなくなってしまったかんたファーム。福島市の農業振興課にひょう被害の現状を相談したことで、福島県産食材を活用した創作料理を提供するレストラン「ピアシス新橋店」(運営:株式会社無洲/東京都)を紹介してもらいます。創作メニューの『モモの白和え』『モモの揚げ出し』にかんたファームの桃を使用してもらいました。
また、取引先の「道の駅裏磐梯」でも、桃を使った夏季限定メニューの「手打ち桃そば」や「桃の天婦羅」を提供してもらい、かんたファームの桃を活用することができました。

東京在住の二人のお嬢さんの協力も

東京に住む美嘉さんの2人の娘さんも、かんたファームのひょう被害桃の販売に協力してくれたそうです。
長女の舞さんは、SNSにかんたファームの箱入りのひょう被害桃の様子をアップ。友人たちやそのご家族などからシェアや口コミが広がり、最終的にはその投稿を通じて70件ほどの注文につながりました。
二女の周(あまね)さんは、学生時代にアルバイトしていた都内の鉄板焼き屋さんに相談。ひょう被害を受けたかんたファームの桃をシャーベットに加工して販売してもらったり、知り合いの飲食店に紹介してもらうことができ、新たに東京の飲食店とのつながりもできました。

「たくさんの方に福島の桃を知ってもらえて嬉しかったです。桃を何度もリピートしてくださる方、野菜の詰め合わせやお米を買って下さる方もいて、来年に繋がったことはとてもありがたいです。最初はひょう被害でがっかりしたけど、たくさんの人に支えられて励みになりました」と、美嘉さんは振り返ります。

早生品種を増やして温暖化に対処していきたい

桃の収穫は7~8月のちょうど暑い時期と重なります。「あかつき」と「まどか」はお盆前、「紅錦香(くにか)」と「川中島」はお盆明けに収穫しますが、どちらも一気に赤く色づいてしまうため、短期間で収穫・発送しなければならず大変です。炎天下で体力も削られます。
「今後はより温暖化が進んでいくでしょうから、もう少し早生品種を増やして収穫時期をずらせるよう工夫していきたいと考えています」と美嘉さん。

困った時に相談できる先があると安心

7月末に参加した軽トラ市の様子

美嘉さんは福島市の農業振興課と繋がっていたことで救われたことも多いといいます。福島市主催のイベント「福島駅前軽トラ市」に出店したときに市の担当者とつながったことで、イベントや補助金などの情報提供を受けることができていました。
「私の周りの農家さんは、福島市が色々やっている支援策を全く知らない方も多いようです。私自身助かっているので、ぜひ支援策を積極的に取り入れて欲しいですね」